ジャック。
記憶を訪ねる旅の出発点
- 「ここの時計塔は、『ジャック』と呼ばれています。ご存じでしたか?」
- ガイドの説明に、最初は建物にゆかりの人の名かと思った。神奈川県庁本庁舎「キング」、横浜税関「クイーン」と並ぶ横浜三塔のひとつとして、昔からこの名で親しまれてきたという。
- 横浜市開港記念会館。
- 記憶を訪ねる旅の出発点に、これほどふさわしい場所はないだろう。
- 建物の東端に36mの時計塔が立ち、交差点に面して玄関とドーム屋根。赤煉瓦と花崗岩を取り混ぜたクラシカルな姿が美しい。横浜開港50周年を記念して市民から寄付を募り、大正6年に横浜町会所として開館した。
- 入り口の石段を上って、中へと入る。
- 大正12年の関東大震災で、内部は一度焼け落ちた。レトロな趣に満ちた現在の内部空間は、当初のデザインを尊重して復元したものだそうだ。
- 重厚な空間に彩りを与えているのが、階段室と2階ホールのステンドグラス。赤、青、濃淡取り混ぜた緑......
- 陽光を透かして鮮やかな色彩が目に染みる。以前は汚れ煤けていたが、平成21年、開港150周年記念行事の一環で、10か月の修復を経て光を甦らせた。
- 現在も公会堂として使われ、会議や会合、式典にと人気が高い。さまざまな記憶を秘めつつ、いまも愛されている現役感と活気が、名建築にいっそうの魅力を添えている。ホールを行き交う多くの市民の姿に、そう思った。
大正期の姿を伝える 横浜市開港記念会館
国指定重要文化財。関東大震災では外壁を残してドームと内部を焼失したが、昭和2年に内部はほぼ元の姿に復元。平成元年にドームも復元、21年には2階のステンドグラスが修復され、昔の姿を取り戻している。希望すればボランティアガイド「ジャックサポーターズ」の案内も受けられる。
横浜市開港記念会館
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横浜市中区本町1-6
TEL:045-201-0708
www.city.yokohama.lg.jp/naka/madoguchi-shisetsu/riyoshisetsu/kaikokinenkaikan/
※ 2020年7月現在、見学は中止。見学再開案内は、Webサイトで最新情報をご確認の上、お出かけください。