- 木々が生い茂る蓼科の山道を、ふたりを乗せたクルマが颯爽と駆け抜ける。茅野市街地から蓼科東急ホテルへと向かう道はやがて森の中へと入っていき、日常から非日常へとエスケープしていく。ふたりは森の中にたたずむ赤い屋根のホテルに到着し、エントランスへと足を踏み入れた。
ホテルは赤い屋根のクラシカルな外観が特徴。 - 38年前にオープンした蓼科東急ホテルは洋風のクラシックな造り。館内はベイマツの柱や、手彫りの彫刻があしらわれた梁と手すりが年月を重ねて独特のツヤを放っている。これらはオープン当初からのもので、現在では材料を入手したり、加工したりするのが難しいため、再現できないそうだ。創業時の思いを大切にし、修繕を重ねてきたことで館内には木のぬくもりが漂い、初めて訪れても懐かしい感じがする。落ち着いていて居心地がよく、まさに大人のための空間だ。
エントランスにある大きな窓はホテルの顔。窓ごしに美しいガーデンが広がる。 - 「ロビーラウンジ アゼリア」には、ホテルのシンボルである大きな暖炉がしつらえてある。暖炉の炎でマシュマロを焼いているうちに、時間を忘れて思わず夢中になった。薪がパチパチとはぜる音とゆらめく炎に包み込まれて、日々の疲れが少しずつほぐれていく。
暖炉の炎で焼きマシュマロづくり。炎を見つめているだけで癒される。 「ロビーラウンジ アゼリア」ではガーデンを眺めながらくつろげる。コーヒーや紅茶、ケーキ、お酒なども楽しめる。 - ふと、ラウンジ横に開設されたライブラリーにも興味をそそられた。蓼科のガイドブックに目を通しているうちに、次の日の予定がますます楽しみになってくる。
ライブラリーには八ヶ岳や信州のガイドブック、東山魁夷の画集など多彩なジャンルの本が並ぶ。 - 「レストラン フレグラント」でおいしいディナーを食べていると、自然と会話が弾んでくる。しだいに窓の外は暗くなり、夜空にはたくさんの星が瞬き、静謐な時間が訪れる。まるで大自然のトリートメントを受けているように深い眠りへと誘われる。
夕食はコース料理の洋食か和食を選べる。蓼科牛や地元野菜をふんだんに使用しており、素材の旨みを最大限に引き出した料理は、滋味深い味わい。 - 翌朝、気持ちよく目覚めてラウンジの窓の向こうに広がるガーデンを散策。辺り一面には、手入れの行き届いた芝生に木漏れ日が差 し、花々が彩りを添える。遠くに八ヶ岳を眺めながら、「からまつ池」のまわりをぐるりと歩き、ベンチに座って池を眺めていると、身も心も静まってくる。
ガーデンの散策はとくに早朝がおすすめ。朝日の光を浴びた芝生がキラキラと輝く。 森のようなガーデンには小川も流れ、せせらぎの音が聴こえる。 - ここは自然と一体化したホテルだ。ここにいると、ふと、風の向きが変わったことや遠くで鳴く鳥の声が違うことに気づく。ふたりともいつもより感覚が鋭くなっているらしい。日常から解き放たれて、最高にリラックスしていた。
蓼科東急ホテル
- 住所:長野県茅野市北山宇鹿山4026-2
TEL:0266-69-3109
料金:スタンダードプラン(1泊2食付)¥38,650~(1名の一泊料金。シーズンやプランによって異なる)
アクセス:JR「茅野駅」から無料シャトルバスで約45分、佐久I.Cからクルマで約70分、諏訪I.Cからクルマで約30分
www.tateshinatokyuhotel.com
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- 撮影協力:LEXUS