越碧(こしのあお)
- 海の青さが一段と濃く、「藍瓶(あいがめ)」と呼ばれる富山湾。
「越碧」は、その深く神秘に満ちた海の豊かさをガラスに映し出す色。富山ガラス工房で生まれた独自の美は、涼やかな光で暮らしを彩る。 「越碧」は光の加減で深い藍色にも、濃い碧色が重なる青にも見え方が変化する。その微妙な美しさは、富山湾の移ろいゆく海の波面を見ているよう。
炎の魔術が生み出す富山湾の深い海の色
- 「越碧」を求めて向かったのは、富山駅から車で20分ほどの呉羽丘陵。緑豊かなガラスの里「グラス・アート・ヒルズ富山」にある「富山ガラス工房」が、「越碧」の故郷だ。
- まず出迎えてくれたのは、花器やグラスなど、ガラス造形作家の作品たち。クリスタルの輝きを放つものがあれば、曇りガラスのふんわりとした光に包まれている作品も。
富山ガラス工房を含む「グラス・アート・ヒルズ富山」は、技術と教育、産業と文化を結ぶ創造の場。ガラス造形作家の支援拠点でもある富山ガラス工房のギャラリーやショップには、さまざまなガラス作品が並ぶ。 - ガラスが抱く色の多彩さに目を奪われながら奥に向かうと、ひときわ深い青碧色のグラスを見つけた。これが「越碧」の色。陽にかざすと深藍(ふかあい)にも紺碧にも見えてくる。
光にかざす方向で色が変化するのも「越碧」の魅力。 - 「越碧」は、富山独自の新しい色ガラスとして、「富山ガラス工房」が富山大学と共同開発して作り出した。富山の自然と風土を醸し出す、「和の五彩ガラス」を創造したいという熱意が実り、約20年の歳月をかけ、5色の「富山曼荼羅彩(とやままんだらさい)」が完成。そのひとつが「越碧」なのだ。
- 工房では、今まさに1200℃に燃え盛る電気炉で「越碧」のグラスが作られているところ。炎で柔らかくなったグラスを回しながら形を整え、フリットと呼ばれる粒状の「越碧」を側面にまぶしつけ、再び炉の中へ。この工程が繰り返されるうちに、青碧色は次第に濃い色彩に。
- 「ガラスの色を左右するのは、溶融の時間と温度です。『越碧』の色には、ガラス職人の技術も大きく関わっているんです」と、技術開発部長の和田修次郎さんが教えてくれた。
- 炉から出た瞬間は、炎の色そのままに橙色に光るガラスが徐々に冷え、青碧(せいへき)色の「越碧」に変化する様は、いつまでも見ていたいほどの美しさ。
- 艶やかな炎が生み出す色の魔術が、工房にはあふれている。
富山ガラス工房では、実際に制作する様子が見学できる。 ガラス板状の「越碧」を細かく砕き、その粒を透明ガラスに溶解させ、色を生み出す。粒の大きさが違えば、色味も変化する。 標高3000m級の山々が連なる立山連峰を背景に富山湾を望む雨晴海岸の絶景。白と青のコントラストの美しさは、万葉の歌人、大伴家持がこよなく愛したとも。 富山ガラス工房では、吹きガラスやペーパーウエイトなどの制作体験を常時開催。「越碧」の色を使ってつくることもできる。
富山エクセルホテル東急にある、立山連峰や富山市が一望できるレストラン「リコモンテ」。ここでは、富山ガラス工房とコラボした「越碧」のオリジナル皿で供されることも。
富山ガラス工房
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住所:富山県富山市古沢152番地
TEL:076-436-2600(代表)/076-436-3322(体験受付)
営業時間:9:00~17:00
休業日:年末年始(12月28日~1月4日)
入館料:無料
体験料:吹きガラス体験 ¥2,900~/ペーパーウエイト体験 ¥1,700~
アクセス:JR「富山駅」より路線バスにて「ファミリーパーク前」下車 徒歩約10分
toyama-garasukobo.jp
富山エクセルホテル東急
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住所:富山県富山市新富町1-2-3(CICビル)
TEL:076-441-0109
アクセス:JR「富山駅」南口から徒歩約3分、富山空港からリムジンバスで富山駅まで
約25分、北陸自動車道〈富山IC〉から約15分
tokyuhotels.co.jp/toyama-e/