季節の移ろいに合わせて作られる、美しい京菓子
- 京都で江戸時代後期から続く、老舗の和菓子店「京都 甘春堂」。
清涼な京の水や良質な原材料など、京都ならではの材料を使って、伝統菓子から創作菓子まで季節ごとに変わる多くの和菓子を販売している京菓子匠だ。 - 幻の洛東名物といわれる「大仏餅」や、お菓子でできた抹茶茶碗の「茶寿器」。職人の技術が光る「季節の上生菓子」に「お干菓子」と、1階には見ているだけで癒される和菓子の数々が並ぶ。
落雁などの打ち菓子に用いられる和菓子を成型する木型。「甘春堂」は、京都でも随一の数を誇るのだそう。
京の町家でかわいい和菓子を、菓子職人と遊ぶように作る
- 2階では毎日「和菓子作り体験教室」が開かれており、誰でも気軽に和菓子作りが体験できる。「甘春堂」の上質な材料を使い、シンプルな技法と道具で作れることから、初心者の方はもちろん、お子様や海外の方にも人気なのだそう。
伝統的な和菓子を一から作るのは難しく感じられるが、道具の使い方や形作りのポイントは、熟練の和菓子職人がやさしく丁寧にゆっくりと、教えてくれる。 申し込み時に連絡すると、英語、中国語、韓国語のテキストの用意も可能。 - 「和菓子教室」は、干菓子1種+上生菓子の「ういろ」「練り切り」「きんとん」3種+お抹茶がセットになっており、試食も含め約1時間15分ほどの所要時間。
京の四季に合わせたモチーフの和菓子は、春は桜、夏は朝顔、秋は紅葉、冬は梅など季節によって変わり、京菓子でよく見かける繊細なデザインも遊ぶように楽しみながら作れるのが嬉しい。
今回は「あゆ」をモチーフにした干菓子、「琵琶」「撫子」「紫陽花」をイメージした上生菓子3種の和菓子作り体験をご紹介しよう。
干菓子『きざと』
- 元禄・享保時代に始まり、献上菓子から生まれて京都で発達したお菓子「きざと」。
きざとは「生砂糖」と書き、字のごとく生地のほとんどが砂糖の和菓子だ。つなぎに寒梅粉(餅粉を加工した粉) を使い、その混合粉に少量の水を入れ、耳たぶほどの硬さに揉まれた生地を伸ばす。 - 京都の鴨川や桂川の上流に生息する「あゆ」の型抜きを薄くした生地に当てて外すと、背びれが青くお腹の部分が白い、きれいなあゆ形の干菓子が完成する。
上生菓子『ういろ』
- ういろは、ういろう(外郎)と同じで、中国から伝わり、当初は薬として用いられていたお菓子。砂糖・上用粉・餅粉などを水で混ぜ合わせ、その生地を蒸しあげたものが「ういろ生地」となる。
- 蒸しあげた後に冷まされた生地を薄く広げ、白餡を包み、オレンジの発色が綺麗な果物「琵琶」の形に整えていく。和菓子の「中ぼかし」といわれる技術により、オレンジ色の生地から緑色の生地が透けて見え、まるで本物の琵琶のような見た目になるのが美しい。
上生菓子『練り切り』
- 「練り切り」は餡に餅粉のつなぎを入れて炊き、粘り気を出した餡を使ったお菓子のこと。上生菓子でもっとも利用される生地に細工をして、「撫子」の形を作りあげていく。
- 練り切りは木型に入れて形をつける場合もあるが、「甘春堂」では布巾で絞ったり、ヘラで整形したりと、昔ながらの方法で作れるのが嬉しい。
- 「撫子」の花びらの形を作ったら、最後に「毛通し (馬の尻尾から編み上げて作られた道具)」を使ってこした黄色の餡をめしべ代わりに乗せ、完成となる。
上生菓子『きんとん』
- 「金団」とも書く、上生菓子には欠かせない「きんとん」。餡玉や求肥の小さな芯に、練って裏ごししたそぼろ状の餡をまぶしたお菓子で、繊細かつ華やかな花びらなどが表現できる。
- 今回は「紫陽花」をモチーフにした「きんとん」作り。きんとん用の羊羹を、籐(とう)製の裏ごしに通しそぼろ状にしたら、そぼろを餡玉の周りにお箸で丁寧に付けていく。
- そぼろ餡を残らず付けたら、最後に雨粒をイメージした透明な寒天をいくつか乗せ、雨上がりの紫陽花をイメージした「きんとん」が完成する。
完成後は試食もかねて、香り高いお抹茶と一緒にいただける。
おいしく、楽しく、京の四季に触れる
和菓子作り体験が終わった後は、熟練の職人による和菓子作りのパフォーマンスが目の前で見られるのも貴重で嬉しいポイント。 ハレの日に見かける機会の多い、「菊」をイメージした芸術的な和菓子。 - 京の町屋で職人と遊ぶように和菓子が作れる「甘春堂」。和菓子作りを楽しみながら、京都の移ろう美しい四季に触れてみてはいかがだろうか。
甘春堂 東店
- 住所:京都府京都市東山区茶屋町511-1
TEL:075-561-1318
kanshundo.co.jp/aboutus/shop/higashi/
※Webサイトをご確認の上、お出かけください。
京いろは
- 「THE HOTEL HIGASHIYAMA」の文化体験プログラム「京いろは」。今回ご紹介した和菓子作り体験のほかにも、「唐紙摺り体験」や「ろくろ体験」、「京扇子への絵付け体験」など、日本のさまざまな文化が楽しめるプログラムがございます。
>詳しくはコチラ
京の極みを旅する入口
- 今回紹介した「京いろは」を提供する「THE HOTEL HIGASHIYAMA」は、「甘春堂 東店」から電車と徒歩で30分ほどの場所にあるホテル。
和菓子作り体験で伝統に触れた後は、「THE HOTEL HIGASHIYAMA」で日本の美しい文化を五感で楽しんでいただきたい。
ここからは、「THE HOTEL HIGASHIYAMA」の魅力もご紹介しよう。 - 「THE HOTEL HIGASHIYAMA」では京都を彩るさまざまな芸術と、伝統文化に触れられる。エントランスを抜けて中に入るとまず出迎えてくれるのが、オリジナルアート作品の数々だ。
ロビーでひときわ目を引くのは、上質な茶道具作りを続けている「高野竹工」で造られた竹のオブジェ。柔らかさと丸みが特徴的なデザインで、夜間はライトアップし幻想的な影が浮かび上がる。 - ロビーから地下のレストランへ続くエリアに展示されているのは、西陣織の手法を使い現代的に織られた手塚愛子氏による織物アート。吹き抜け2層・長さ15メートルの迫力あるサイズ感ながら、色鮮やかで繊細な作品となっている。
ロビーフロアに併設されているのは、1860年創業の老舗「祇園辻利」がプロデュースするTea & Bar「Sarei(サレイ)」。 - 日本茶をメインに、抹茶やお茶のアレンジドリンクを取り扱っており、宇治茶講座などのワークショップも体験できるサロンとなっている。 ドリンクはテイクアウトもできるので、晴れた日にはカウンターから眺められる中庭で飲むのもおすすめだ。
廊下には伝統的な紋様を押した装飾紙「京唐紙」、ホテルの近くを流れる白川の水の流れと揺らぎをイメージしたデザインのカーペットが並び、風情ある雰囲気を楽しめる。
心落ち着く客室
- 客室はスーペリア、プレミアム、エグゼクティブ、スイートルームの4種類。それぞれ和と洋のエッセンスがかけあわさり、シックで落ち着いた雰囲気の室内。
珈琲と陶芸好きの持ち主がテーマのスイートルーム「higashiyama」。スイートルームは部屋ごとに持ち主をイメージしたテーマがあり、邸宅のように贅沢な空間。 - 全客室に置かれている「茶箱」は、こちらのホテルのために作られた特別なアイテム。京都ならではのおもてなしにこだわり、「高野竹工」の職人がひとつひとつ丁寧に竹を曲げ、桐を組み合わせて手作業で製作しているのだそう。
茶箱には「小川珈琲」のドリップコーヒー(エグゼクティブルーム、スイートルームのみ)、「祇園辻利」のゴーフレット、「祇園辻利」の煎茶とかぶせ茶のティーバッグが入っている。 お部屋でのくつろぎ時間。寺内信二氏の急須と湯呑茶碗でお茶を楽しむ事もできる。(エグゼクティブルーム、スイートルームのみ) 部屋の窓からは桜や紅葉など、四季折々違った表情の中庭を眺められる。 - アートと食に造詣の深い、京都東山エリア。東山が「深まる」旅を、ぜひ「THE HOTEL HIGASHIYAMA」から始めてみては?
THE HOTEL HIGASHIYAMA by Kyoto Tokyu Hotel
- 住所:京都府京都市東山区三条通白川橋東入三丁目夷町175-2
TEL: 075-533-6109
アクセス:京都市営地下鉄東西線「東山駅」徒歩4分
JR京都駅よりタクシー約20分
>THE HOTEL HIGASHIYAMA by Kyoto Tokyu Hotel