- 山って遠くから眺めるものだと思っていたのに、最近、自分の足で登るようになった。
- はじまりは山に登る知人に誘われて出かけた鎌倉の山。観光客と土産物屋で賑わう街を抜けて登山道に入ってみると、とても静かでさっきまでの喧騒が嘘のよう。
- ひんやりとしていい匂いがする木立の中。
- 足元の草花を眺めながら進んでいく。遠くに近くに聞こえる鳥の声。そして、大きな岩の切り通しを抜ける。
- 山の上から眺める相模湾はキラキラのほほんと霞んでる。知っているつもりだった鎌倉。実は何にも知らなかったのだと、親しい人の意外な一面を見たような気持ちになった。
- それ以来、電車や車の車窓に山を眺めながら「あの中はどんな感じだろう?見下ろす景色はどんなだろう?」と思いを巡らせては早起きをして出かけている。
- 明日は夏の山歩き。
- 山の天気は気まぐれだ。雨の心配がなくてもザックの底には雨具を入れる。
- ミネラル補給できる麦茶やスポーツドリンクなど500㎖のペットボトルを2本。
- おやつは何にしよう?
- 甘いものはどら焼きや羊羹などあんこ系、しょっぱいものはチーズかまぼこ、歩きながらちょこっとつまめるキャンディやラムネも。
- 汗拭きシート、虫除けスプレー、日焼け止め。帽子、そして日よけとして首に巻く手ぬぐいで準備完了。
- 道具を整えるというのはおもしろい。快適なウェアや道具、疲れたときに口にすると元気が出るものなど、トライアンドエラーを繰り返しながら、お守りがわりの「私の必需品」がわかってくる。“丸腰”じゃない私のできあがり。
- 山歩きは急がず無理せず、おしゃべりができるくらいのペースでのんびり歩くのがちょうどいい。おいしいものや、快適になるグッズを詰め込んだザックをヨイショと背負って大自然と静けさの中へ。
- 山を下りたあとにはもうひとつのお楽しみも待っている。麓の温泉でサッパリしてから乾杯するビールのひと口目!
- 本当はこれが味わいたくてまた次の山の計画をいそいそと立てるのかもしれません。
絵と文:谷山彩子(たにやま・あやこ)
- イラストレーター。セツ・モードセミナー卒業後、ギャラリー勤務などを経て、フリーのイラストレーターに。雑誌や書籍の挿画、絵本などを手がける。
>シリーズ イラストエッセイ「旅じたくの魔法」