住む人と旅する人が交錯するまち、三宮
- 諏訪山公園の展望台は高いなぁ。
- 8の字のループ橋がビーナスブリッジ。山と海の間のコンパクトな神戸のまち。その上の空とこの雲の広がり。思わず鼻歌まじりになります。いいじゃないですか、神戸。
- そうそう、ここはスマホでパノラマ。誰だってそう思いますね。
(スマホで撮影)諏訪山公園は市街地から車で約10分。六甲山系山麓の高台と自然林を利用した都市公園。公園内山頂からは、神戸市街地が広々と見渡せ、昼夜を問わず素晴らしい眺望が望める。山頂の近くの全長90メートルの螺旋ループ橋がビーナスブリッジ。 - 神戸のまちを見下ろしていると、今朝の出発を思い出します。
- 三宮のまちは、住んでいる人と旅する人が交錯しているんだなぁ、と。その色合いが強いように思えました。住む人にとっては忙しい朝、旅人の僕にとっては、昨日までの自分をリセットした始まりの朝。新しい出逢いを自由に撮っていきます。
夜明け前の三宮駅周辺。 - 諏訪山公園を降りると、もう昼過ぎ。人気の洋食店、グリル末松で昼食です。ここの創業は1998年。四半世紀以上、洋食をつくりつづけるオーナーシェフ、千崎智平さんの願いは、「毎日食べられる料理の提供」。伝統の味に、この日もファンが行列をつくっていました。
(スマホで撮影)グリル末松は三宮駅から徒歩で10分ほどの加納町にある。ファンが多く、ランチは平日早めの時間帯から行列ができる洋食店。 (スマホで撮影)看板メニューの「ビーフカツレツ」は、驚くほど肉がやわらかく、ほのかな苦みのデミグラスソースとのマッチングのよさで大人気。
- 人はふだん「見上げる」という行為をあまりしません。でも、見上げると見つけられるものもきっとあります。兵庫県立美術館は、僕を見上げさせてくれる空間と光がたくさんありました。
- シンプルで明快な構造物なのに、複雑で多様なポイントがいくつもある。さすが世界の建築家・安藤忠雄さんの設計です。
- 見上げれば、さまざまな形の空を切り取れる円形テラス。天井まで伸びる本棚の前でも、一番上の本を手にしてみたい衝動にかられました。
1万点を超える収蔵作品を誇る兵庫県立美術館は、建築家・安藤忠雄氏設計。安藤氏が手がけた美術館建築では、国内外でも最大規模。渦巻き状の円形テラスは美術館のシンボル。 Ando Gallery内、世界各国の建築に関する書籍を収納した本棚。
- 海のデッキにある「青りんご」のオブジェは、さぁ、ここへいらっしゃいと多くの人を誘っているようでした。地面からだとどう見えるのか、スマホでトライ。このオブジェもまた、安藤作品。
(スマホで撮影)アメリカの詩人、サムエル・ウルマンの詩「青春」をモチーフに安藤氏がデザインした屋外オブジェ「青りんご」。いずれもフォトジェニックな撮影ポイントとして訪れる人が絶えない。
- 陽が傾いてきました。
- 山から吹き下ろす風と海から吹き上げる風。そんなミックスされた春風が、港を一望できる高台、スマートな北野のまちを包みます。
- 明治・大正の時代に建てられ、いまも残る異人館を横目に見ながら、あちらで止まり、こちらで止まりのまち歩き。やがて北野坂、そして北野天満神社に着きました。
(スマホで撮影)北野のまちは緑豊かな高台。19世紀から20世紀初めにかけて建築された洋館が点在する。神戸で最初に公開された異人館「うろこの家」。 (スマホで撮影)ラインの館。観光用に手を入れられた異人館でも、往時の調度などを見つけられる。目をこらそう。
- 振り返ると西隣に旧トーマス住宅「風見鶏の館」が夕闇に浮かびます。
- 神戸はほんわりとやわらかい暖色の光が似合うなぁ。
- この地に住む人が、ベルを鳴らしながら自転車で坂を下っていきます。
- 神戸のまちの光と音と風が、旅人の僕をたしかに、やさしく包み込んでくれています。
北野天満神社からまちの景色を望む。手前に見える洋館は、旧トーマス住宅「風見鶏の館」。
神戸三宮東急REIホテル
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住所:兵庫県神戸市中央区雲井通6-1-5
TEL:078-291-0109
アクセス:JR「三ノ宮駅」東口から徒歩2分/ポートライナー「三宮駅」から徒歩2分/地下鉄山手線「三宮駅」から徒歩7分/阪神高速3号神戸線<西行/生田川ランプ>、<東行/京橋ランプ>から約5分
tokyuhotels.co.jp/kobesannomiya-r
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photographs & text by Jin AKAISHI
- あかいし・じん
1972年東京生まれ。広告撮影プロダクション勤務後、独立。広告・雑誌を中心に活動。毎日広告デザイン賞ほか多数の受賞歴が ある。2020東京オリンピックには、公式フォトグラファーとして参加。(撮影:榊 水麗)