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2023.06.09
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中之島にみる 水の都<前編>
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- 中之島は大阪駅から地下鉄で南にひと駅の距離にある、堂島川と土佐堀川に挟まれた東西約3㎞の中洲です。江戸時代には諸藩の蔵屋敷が並んで「天下の台所」大坂の繁栄を支え、明治以降も近代都市・大阪の主要な施設が置かれた、「水都大阪」を最も象徴する場所です。細長い土地はエリアごとに異なる表情をみせ、川沿いには遊歩道も整備されていますから、散策にはうってつけといえるでしょう。2008年(平成20年)に京阪中之島線が開業したことで西部の開発も進み、近年では中之島に暮らす人も増えてきました。
では、東から順番に辿っていきましょう。天神橋の東に突き出た剣先と呼ばれる突端から、御堂筋までの一帯は中之島公園。大阪市が1891年(明治24 年)に設置した初めての公園です。2009年(平成21年)に開催された府市をあげての都市再生イベント、「水都大阪2009」を契機に再整備されました。東に広がる芝生広場は普段から市民の憩いの場として親しまれ、バラ園には季節になると大勢の人々が訪れます。堺筋から西のエリアは大阪市中央公会堂(1918年)、大阪府立中之島図書館(1904年)のふたつの重要文化財、大阪市役所本庁舎を挟んで御堂筋の反対には日本銀行大阪支店(1903年)といった重厚な歴史的建築物が建ち並ぶ、大阪のシビックセンターとしての威容を誇っています。建築家・安藤忠雄さんの発案により寄付で「こども本の森 中之島」(2020年)が建てられたことをきっかけに、公園内の車道が廃止され、中之島公園はますます子どもや家族が安心して時を過ごせる場所となりました。隣接する大阪市立東洋陶磁美術館(1982年)もオープンスペースに面したカフェを併設するエントランスを改修中で、来年春のリニューアルオープンが待たれます。そして、このあたりを訪れたらぜひ立ち寄っていただきたいのが北浜テラス。中之島の南を流れる土佐堀川の対岸には、カフェやレストランなど、16軒の飲食店が川に接してテラス席を並べています。これは2009年(平成21年)、全国に先駆けて大阪が実現した常設の川床で、市民による水辺のまちづくりの成果です。
- 大大阪と呼ばれた頃の中之島は、川とまちの距離が近い。(『大阪市大観(1925)』より)
建築家・近畿大学准教授 高岡伸一
- 建築家、近畿大学准教授、生きた建築ミュージアム大阪実行委員会事務局長。大阪の近現代建築の再生を多く手がける。主な著書に『新・大阪モダン建築』(共著、2019)など。
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