- 余市の真ん中あたり、登(のぼり)町の小高い丘の上で、曽我貴彦さんが小さなワイナリー「ドメーヌ タカヒコ」をスタートさせたのは2010年のこと。余市に誕生した二つ目のワイナリーだった。
- 干支がひと回りした’22年、余市にはワイナリーの数が増えて15に。北海道余市町は日本で一番ワイナリーが多い「町」となっている。「余市の葡萄が持っているポテンシャルは本当に高い。国産の葡萄のなかでも突き抜けていると言っていいくらいです。だからこそ僕は余市でワインを造ろうと思ったわけだし、こうしてワイナリーが増え続けているのも必然ですよね」と、曽我さんは言う。
- 余市の積算温度はブルゴーニュやアルザスといった海外のワインの名産地とほぼ同じ。良質な葡萄ができる下地は十分にある。曽我さんは余市でのワイン造りを、自身の出身地である長野の特産「野沢菜漬け」に例える。「僕が子どもの頃、野沢菜漬けといえば農家さんたちが自分で作った野沢菜をそれぞれの味付けでこしらえたもの。大きな会社が大量に作るものじゃなかった。余市のワインもそれと同じ。余市の葡萄農家さんが、自分たちの手で自分たちなりのワインを造る。そこから余市のワインが根づいていく。僕はそこを目指したい。まだ始まったばかりですけどね」
- ’20年、「ドメーヌ タカヒコ」のワインは、世界一のレストランとして知られるデンマーク「noma」のワインリストに掲載された。日本ワインとしては初めてのこと。ここ数年、曽我さんのワインはもちろん、余市のワインに世界が注目している。
- 「余市のワイナリーは家族経営がほとんどで、僕のところもそう。ワイナリーを見学に来てもらっても案内がままならないというのが正直なところです。申し訳ない気持ちもあって、余市のワインを求めて来てくださった方々に少しでも満足してもらおうと、僕らが造ったワインを余市のお店で飲むことができる仕組みを考えています。今シーズン、僕はソーヴィニヨン・ブランやシャルドネで、余市でしか飲めないワインを造る試みも始めました」
- ワインの町として成長を遂げる余市。ワイナリーを巡り、歴史の始まりを目撃するのは、今しかない。
目指しているのはグローバルワインではなく、日本人の琴線に触れるワイン。降雨量が多く、豊かな土壌が育む葡萄で造るワインは旨味があり、柔らかさと複雑さを醸しだす。畑に植えられているほとんどの葡萄はピノ・ノワールで、自然発酵を基本に、一貫して葡萄の力を信じたワイン造りを続けている。
代表銘柄は国内外で高い評価を受ける「ナナツモリ」。和食にもよく合う。他の銘柄に「ヨイチノボリ」などがある。
ドメーヌ タカヒコ
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住所:北海道余市郡余市町登町1395
TEL:0135-22-6752
www.takahiko.co.jp
※Webサイトで最新情報をご確認の上、お出かけください。
リタファーム&ワイナリ
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2011年創業。余市出身の菅原由利子さんが醸造を担っている。野生酵母による自然発酵。ブドウはシャルドネ、ピノ・ノワール、メルロー、ソヴィニヨン・ブランなど。代表銘柄は「キュヴェ・リタ」「風のヴィンヤード」。
住所:北海道余市郡余市町登町1824
TEL:非公表
www.rita-farm.jp
※Webサイトで最新情報をご確認の上、お出かけください。
平川ワイナリー
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2015年設立。余市町西部地区の日照り条件の恵まれた南斜面にて、食との相性と産地固有の味わいを追求し、赤、城、ロゼ、スパークリングの多種多様なワインを生み出す。代表銘柄は「ノートルシエクル」など。
住所:北海道余市郡余市町沢町201
TEL:非公表
hirakawawinery.jp
※Webサイトで最新情報をご確認の上、お出かけください。
Winery,Gastronomy,Resort...Traveling Around Hokkaido
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