魅惑のミステリー映画、『女が眠る時』
- 今回ご紹介するのは、2016年に公開されたウェイン・ワン監督のミステリー映画『女が眠る時』と、伊豆今井浜東急ホテルの関係について。
スペイン人作家ハビエル・マリアスの同名短編小説が原作の映画『女が眠る時』は、西島秀俊、ビートたけしら名だたるキャストが集結している作品なのだが、そんな作品の舞台になったのが、静岡の伊豆今井浜なのである。
- 舞台の中心地となるリゾートホテルの撮影は、伊豆今井浜東急ホテルの全面協力のもと行われた。
伊豆今井浜東急ホテルは「伊豆のハワイ」とも言われる今井浜海岸が眼前に広がり、自然を心ゆくまで堪能できる大人のリゾートホテルだ。
しかし、『女が眠る時』に映る伊豆今井浜東急ホテルは、多くの人がイメージするキラキラと輝くリゾートホテルとはどこか異なる。
劇中では水の音や鳥の鳴き声が静かに響きながら、夏の湿った空気が伝わってくるような落ち着いた雰囲気で進行していく。自然に触れる機会が少なくなってしまった現代の私達には、その静謐な光景がとても美しくきらめいて見える。
たびたび映るオーシャンビューの客室は、室内の温もりと、外側に広がる青い海とのコントラストが美しく、思わず絵画を眺めているような錯覚を覚えてしまうほど。
まさに大人が理想とするしっとりとしたリゾートホテルの世界観や、過ごし方がそこここに表現されている作品なのだ。
何より印象的なのは、「屋外プール」の存在だろう。
主人公の健二(西島秀俊)は、1週間の休暇で訪れたリゾートホテルの屋外プールで、初老の男性、佐原(ビートたけし)と若い女性、美樹(忽那汐里)のカップルと出会い、交流を深めていく。
目の前に海が広がる景観の屋外プールは、都会とは異なる開放感に溢れており、そんな邂逅も自然なものに思えるから不思議だ。この邂逅をきっかけに、男女の複雑な心理が緻密に描かれていくのだが、登場人物全員の危うい魅力に、観客は思わず惹き込まれてしまう。
伊豆今井浜東急ホテルには、ほかにも大人の心が休まる施設が存在する。
「水平線を臨むデッキ」がコンセプトのブックカフェでは、芸術・建築インテリア・ファッションなどの写真集、洋書を中心とした蔵書と、カフェメニューを楽しめる。
劇中で描かれる「情緒的な時間を過ごせるリゾートホテル」が、実際のあらゆるシーンに潜んでいるのが嬉しい。
日本のリゾートながら日本ではないような、誰もが一度は思い描く「ここではないどこか」。
光輝く太陽の光を浴びて過ごす夏休みはもちろん魅力的だが、『女が眠る時』を鑑賞した後は、雨の降るしっとりとしたリゾート地も美しく感じるはずだ。
ホテルで過ごす時間も、映画に浸る時間も、忙しく流れていく日常の中では、非日常の体験そのもの。いつか訪れる日のことを想像しながら、今は魅惑的なリゾート地に思いを馳せたい。
舞台は大人のリゾート地、伊豆今井浜東急ホテル
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