- 世界初の「水素ホテル」として注目を集めている川崎キングスカイフロント東急REIホテルが東急バスとタッグを組み、川崎市立東大島小学校5年性に向けて、“水素の取り組み”を体感してもらう環境学習を実施。この日、ホテル1階のラウンジはまるで学校の教室へと姿を変え、集まった小学生はSDGsについて熱心に学びました。
- このホテルが「水素ホテル」といわれる理由。それは川崎市の家庭から集められたプラスチックゴミを水素に生まれ変わらせ、エネルギー源として活用しているから。ホテル全体の約30%の電気エネルギーを純水素燃料電池で発電する「水素由来の電力」でまかなっています。残り70%は、ホテルから出た食品廃棄物を微生物によってメタン発酵させ、そこで発生したバイオガスでガスエンジンを動かし発電したもので補います。そして、その電力を活用し、ホテル内でリーフレタスの栽培を行っています(※)。この日、子供たちは“レタス工場”の見学と収穫を体験し、「水素でレタスが育つなんて不思議」「土がついていなくて綺麗だから、このまま食べられる!」と、ワクワクした様子で、自ら収穫したレタスを試食しました。また、水素の力で動くラジコンカーの操作も体験。ロビー中に子供たちの元気な声が響きわたりました。
ラジコンカーの仕組みを学び、一生懸命動かそうとする男子児童。 ラジコンカーは、水の入った装置のハンドルを回すことで水を水素と酸素に分解し、その水素を空気中の酸素と化学反応させて電気を生み出す仕組み。 - 水素エネルギーを活用しているのはホテルだけではありません。近年ではバスへの活用も進められ、東急バスは2020年4月に水素で発電した電気で走る燃料電池バスを導入し、路線バスとして運行しています。子供たちはホテルの前の駐車場で、燃料電池バス「SORA」に試乗。「水素の力でバスが動くなんて信じられない!」「バスの中はとても広くて、すごく静か」「未来の乗り物みたい!」と、軽油で走行するバスとの違いを実感。東急バスの古川卓社長は、「SDGsの取り組みの一環として、燃料電池バスを導入しました。このバスの強みは、環境に適しているだけではなく、災害時にも役に立つこと。今後は、この燃料電池バスやEVバスにシフトしていくことになるでしょう」と子供たちに説明しました。
燃料電池バス「SORA」。 燃料電池バスの試乗体験。子供たちを乗せたバスが、ホテルの駐車場スペースの周りを3周した。水素の力を自ら体験することで大いに盛り上がった。 - この日の環境学習を通して、子供たちは「楽しみながらいろいろなことを学べただけではなく、環境問題を考える機会になった」と振り返りました。それを受けて東急ホテルズの村井淳社長は「今日学んだことをご家族にもぜひお話ししてください」と締めくくり、2時間半に及ぶ環境学習は幕を閉じました。
村井社長の話を真剣に聞く子供たち。 - 使用済みプラスチック由来の水素や食品廃棄物を活用するホテルに宿泊し、朝食でレタスを食べる。これだけでもこのホテルの取り組みが環境に優しいことを実感でき、脱炭素社会の未来を考えることに繋がります。子供たちもこの日の学習を通して、水素が生みだす新しい未来の姿に期待を寄せ、近い将来やってくる水素社会について考えるきっかけになったことでしょう。
ホテルのロビーにレタス工場出現!?
- ホテルのロビーでは、水素由来のエネルギーを使ってリーフレタスを栽培(※)。栽培ルームの温度を22〜26°C、湿度を60〜80%に保ち、赤色と青色のLED照明を24時間照射することで室内でも栽培でき、通常、育成に45日程度かかるところを約30日で収穫可能に。収穫したレタスは週に一度、ホテルの朝食ブッフェで提供しています。
※水素発電は2023年3月中に再開予定。それまでリーフレタスはバイオガス発電によって栽培。