美の宿る、繊細な職人技に 金沢の粋を見つける
- 出格子が続く金沢らしい街並みを求めて、観光客がひっきりなしに訪れる「ひがし茶屋街」へ。しかし、目抜き通りから一歩小路を入ると、一転して静謐な空気がただよう。
- ミシュランの一つ星を獲得している「鮨みつ川 金沢本店」も、細いクランクの角にひっそりと暖簾を掲げる。2005年に店主・光川浩司さんが開いた店で、現在は一番弟子の生田崇さんが切り盛りしている。
- 「みつ川の鮨の真骨頂は“繊細さ”です。それを自分の握りで表現していきたい」と生田さん。たとえば、透けるほど薄くおろしたイカに大葉をあて、細く刻んだ握り。ねっとりと甘いイカに、驚かされる。
左からイカ、しめ鯖、甘エビの握り。「冬の能登の鯖は脂がのっていますよ」と生田さん。 - 金沢の冬の味覚といえば「香箱ガニ」。ズワイガニのメスである。みつ川の冬の名物は、香箱ガニの内子(卵巣)と外子(卵)を混ぜ込んだ酢飯に、カニ身・ウニ・イクラをのせた豪華なちらし鮨。漁が解禁されている約2ヵ月間だけ楽しめる、とっておきのご馳走だ。
11月7日〜12月31日までの期間限定で楽しめる「香箱かにちらし」。各コースに追加できる(要予約)。 加能ガニ(ズワイガニ)のカニミソ添え。おつまみと握りのコースは¥13,000(税別)。握りのみのコースは¥10,000(税別)。 カワハギの肝あえ。冬場は肝がおいしい。 - 8畳ほどの店内には、遠野檜のカウンターや、和紙を編んだ網代天井(あじろてんじょう)、観音下石(かながそいし)の床石など、随所に厳選された素材が用いられており、空間自体がまるでひとつの工芸品のよう。
- 金沢の伝統工芸の大樋焼や、地元作家の酒器など、器にも店主の審美眼が光る。冬の食材とともに、金沢の風格を魅せてくれる。
生田さんは釣りの名手で、魚の目利きでもある。県内の漁師や網元から直接仕入れる魚も多い。
鮨 みつ川
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住所:金沢市東山1-16-2
TEL:076-253-5005 ※完全予約制
営業時間:12:00〜14:00、17:30〜22:00
定休日:水曜
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