GOURMET

2024.01.12
GOURMET

冬の札幌 あったかさを求めて
老舗の腕で焼き上げる海幸山幸
炉ばた焼 ウタリ

冬だからこそ、おいしさ極まる味があり、
寒さの中ならではの心あたたまる店がある。
札幌を巡る旅。長年愛されてきた老舗の味わいや
話題を呼ぶ逸品の数々を訪ねよう。
雪景色のその向こうのあったかさを求めて……。
  • TEXT
  • Michiyo Nishiuehara
  • PHOTO
  • Takeshi Fukuhara
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なごやかに炉ばたを囲んで店の中ではみな仲間!


  • ぐるぐる巻きにしていたマフラーとコートを脱ぎ捨てて、ほうっと安堵のため息が出る。店内に満ちるあたたかな空気、おいしい匂い。雪交じりの風が吹き付け、しんしんと骨まで冷える外の寒さが遠い世界のことのようだ。
  • 「炉ばた焼 ウタリ」。
  • 炉ばた焼 ウタリの内観写真


  • 創業は昭和29年。炉ばた焼きでは札幌で最初にできた店だという。見事な一枚板のカウンターの向こうには、真っ赤に炭火が熾(おこ)る、大きな炉。煙に燻されて鈍く黒光りしている柱や梁が、愛されてきた年月をもの語る。
  • 焼き手も務める店長は代々女性で、現店長で七代目とか。人気メニューはやはりホッケ。帆立もお薦め。
  • 「帆立は身を網で焼きます。殻つきでバターを載せて焼く店もあるけど、それじゃバターの味が勝っちゃうからね」
  • 火の具合を見つつ小まめに場所を変えて焼き上げたホッケは、箸を入れたとたん、湯気とともにかぐわしい香りがぱあっと立ちのぼる。帆立もうまみと甘みが凝縮して……うまいっ!
  • 「海老の食べ方、下手だねぇ。ほらこうやって頭を外して、ミソも食べて」
  • 世話を焼く店長の口調はぶっきらぼうなようでいて、あたたかい。目もやさしく笑っている。
  • 店名のウタリとはアイヌの言葉で「仲間」という意味だそうだが、初めてなのに仲間うちの店に来たような、なごやかな雰囲気に、食べて飲んで喋って……。お腹はもちろんのこと、心も充たされて満足……まんぞく!

  • 炉ばた焼 ウタリのお料理写真

  • 炉ばた焼 ウタリのお料理写真

  • 炉ばた焼 ウタリのお料理写真


  • ※この記事は「COMFORTS」2018年2・3月の転載です。

炉ばた焼 ウタリ


  • ホッケやキンキ、シシャモ、じゃがいもやアスパラなど北海道ならではの素材を樹齢千年以上のエゾマツを使った囲炉裏で焼く。炉の上に魚を吊るしているのは、水分を飛ばして旨みを凝縮させるため。注文のたび近くの姉妹店から届く新鮮な刺身や毛ガニも自慢。
    住所:札幌市中央区南5条西5
    TEL:011-512-3570

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