ビストロ Tepp’s
食材との出合いを大事に生産者とつながる
- 地元の岐阜県大垣市でベーカリーカフェを経営後、イタリアのシチリアで料理の修業。帰国後、オーガニックの小麦とワインとの出合いで、道内に自身の店を持つことにしたという河瀬鉄平さん。その「Tepp's」では食感、香り、提供する温度などでメリハリをつけた料理、そして自身が胃もたれしやすい体質から「胃に優しい」料理を提供する。パン職人の腕を生かした、ワインの搾りかすのブドウから起こした酵母を使った自家製パンも人気がある。常連客の間で「くせになる」と言われているのが、このパンを使ったフレンチトースト。酵母由来の酸味があり、食べ飽きないという。
- フレンチトーストを注文すると、調理前に妻のまり子さんが使う卵を見せてくれる。長沼町の養鶏場「モチツモタレツ」のもので、初めて食べた時に、レモンイエローの黄身の色と卵特有の臭みがないことに驚いたそう。その感動を共有したい、と余裕のある時にはこんなサービスをしている。
「自家製パンのフレンチトースト」（写真はコースの2人分。単品は量が約1.5倍で￥2,700。時間がかかるため混雑時やファーストオーダーは不可）。自宅での朝食メニューをまり子さんの勧めでお店で出すことに。使用するパンはブリオッシュなど3種を日替わりで。 
ナツメヤシや竜眼などとつけ込んで焼く「白老牛のローストビーフ」（￥1,680）は開業時からのメニューのひとつ。 
店内の鏡には生産者のサインが。
ビストロ Tepp’s
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住所：北海道札幌市中央区南3条西7丁目6-5 タヌキスクエア2F
TEL：011-839-3364
営業時間：18:00～L.O.21:30、日曜は～L.O.20:30（※予約はコースのみ。ランチは12:30～のリクエスト営業。コースのみ）
定休日：不定休（SNSで要確認）
料金：コース￥6,600、￥8,800
tepps.favy.jp
河瀬鉄平さん、まり子さん
- 2016年開業。鉄平さんが旅した91ヵ国の要素が詰まったお店。’20年、フランスのレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ北海道」ポップ部門掲載。
ファーム モチツモタレツ
鶏らしい生活と卵のおいしさを両立
- モチツモタレツの卵は「平飼い自然有精卵」。ただし「平飼いと卵のおいしさは別」とオーナーの高井一輝さん。おいしさは卵自体の鮮度、鶏の食べるエサ、そしてそのエサの鮮度で決まると話す。近隣の農家などから仕入れる麦や生米ぬか、きな粉、米こうじなどが新鮮なエサとなる。ちなみに米ぬかは油分が酸化しないよう、精米したてのものを手に入れるという念の入れよう。ワクチンや抗生物質は使用せず。通常養鶏場では生後120日の「大びな」から育てはじめることが多いが、ここには生後0日のひながやってくる。「育てるのはすごく面倒くさいですよ」と笑うが、これもひなが他の施設で抗生物質を口にする回数をなるべく減らすためだという。
- Tepp'sではモチツモタレツの卵の個性を生かし、卵を半熟状態で楽しむ料理に使用。フレンチトーストは生クリームと砂糖を加えた卵液にパンをじっくり浸してからフライパンへ。たっぷりのバターで焼いてカリッと仕上げる。カリッ、ジュワッの食感の変化、グラニュー糖を焦がしたキャラメリゼの苦み、パンの酸味、卵液のほのかな甘み。コースの締めにふさわしい、幾重にも楽しめるひと皿になっている。
1日に産まれる卵は平均して800個。殻の色は鶏によって異なる。札幌の飲食店へは自身で配達し、その時の卵の状態を説明。
レモンイエローの黄身が美しい。 
約2000羽の鶏を夫婦2人で育てる。鶏が寝床に自ら入るよう仕掛けるなど、鶏が自由に行動しつつも労力を軽減する工夫を凝らしている。
鶏舎の外に出すと、草を喜んでついばむ。 
こだわりのエサ。麦は消化よりも鮮度を優先し、つぶさずに与えている。
ファーム モチツモタレツ
高井一輝さん
- 東日本大震災をきっかけに横浜から北海道に妻と移住。長沼町での農業研修生時代に、後の師匠の卵を食べ養鶏の道へ。’19年に独立。
