- 日本各地の文化や伝統には、必ずその背景に魅力的な「ストーリー」がある。人々がどのように暮らし、どのような考えを持ってその文化や習慣を生み出したのかを知ることで、「歴史」が「人々のドラマ」へと認識が変わったという経験は、多くの人が持っているのではないだろうか。日本遺産(Japan Heritage)とは、地域・日本の魅力を十分に伝えてくれるそのようなストーリーに対して、文化庁が認定している制度だ。各地域に連綿と続く歴史、伝承、風習などの文化をひとつのストーリーにまとめ、それにまつわる遺跡、名所などを魅力的なパッケージにしたものが日本遺産なのだ。
- 日本遺産に認定されているストーリーは、単に地域の歴史や文化財の価値を解説するだけのものではなく、地域の風土に根ざし、世代を超えて受け継がれているものであること、そして専門知識がない人にも理解でき、興味や関心を引き起こすものであることが求められている。遺跡・地形など有形の文化財を保存することが目的の世界遺産とは違い、日本遺産は習慣や伝統などの無形のものを含む。また日本遺産は、地域に点在する文化財を生み出してきた文化そのものをストーリーという面で提案するのが大きな特徴だ。それを活用し、日本や地域の魅力を国内外に伝えていくことが日本遺産の役割なのだ。
- 現在認定されている日本遺産は全国で104件。興味深さ、斬新さ、希少性、地域性、理解しやすさといった観点から、「もっと詳しく知りたい」「地域を訪れてみたい」と人々が感じるストーリーを選定している。
- 地域に残る文化的な遺産を国内外に発信することは、地域活性につながると同時に、その地域の住民が自身のアイデンティティを再確認できる機会ともなる。改めて日本や地域の魅力を発見するためにも、各地の日本遺産の語りに、耳を傾けてほしい。
岐阜県 飛騨匠の技・こころ ―木とともに、今に引き継ぐ1300年―
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飛騨の豊かな自然に育まれた「木を生かす」技術と、実直な匠たちの気質。その心は古代から現代まで受け継がれ、飛騨高山の文化の基礎となっている。建築や伝統工芸から、1300年にもわたる匠の物語を訪ねる。
旅人と歴史を結ぶ街・飛騨高山
comforts.jp/travel/9444
京都府 300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊
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染色性に優れ、友禅染などの着物の代表的な生地として和装文化を支えてきた丹後ちりめん。今も着物の生地の約6割を生産する丹後の営みが育んだ町並みや、文化を巡ることで、織物の歴史を体感できるだろう。
いつか行きたい美しの京都めぐり
comforts.jp/travel/9454